忍者ブログ
OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




『・・・・遅ェ』
「悪ぃ、携帯放置でした」

この通話は俺のライフラインカット行為なんじゃ、
とサッチは嫌な汗をかきつつ思うが事実を言うしかない。



『いつまでほっつき歩いてんだよぃ』


ここまで不機嫌な声を、マルコとの付き合いではまだ聞いた事がない。
初体験おめでとう俺、と頭の隅で笑うしかないが、いや、ちょっと待て。

「へ?ほっつき歩く?」
『買い出し行って、飯作るって、2時間かかる買い出しなんざ海にでも出て漁でもしてんのかよぃ?
「何キレてんだよ。だから飯作ってんだろが」
『あぁ?』
「・・・・?ちょ、待て、お前、え!?聞いてねェの!?」
『何が』
「嘘だろ、アンちゃん、そりゃ駄目だ」
『煩ェな、何だってんだよぃ』
「お宅のお嬢さん、買い出し行って俺んちで飯作るって言わなかった?」
言わなかったんだわな、そうだよな、とサッチはあっちゃーと額を押さえている。

『テメェん家だァ?』
「マルコにゃ言って来たっつーからてっきり・・・」

とサッチは口に出してすぐに、
ああまずった、アンに責がある言い方になったと後悔した。


誰が好き好んで火種落として掻きまわすか、と言い募っても、
相手が歳甲斐もなく小娘に堕ちたオッサンではそれも通らない気はする。



(何で隠すとかしちゃったのよ・・・)


「まさかと思うけど、アンちゃんの携帯は」
『・・・切られてるよぃ』

オーマイガー、とサッチは天を仰いだ。
恐怖の着信数の予想に、これで裏が取れてしまったではないか。


行き先は別の男の部屋。
そしてそれを彼氏には内緒。
さらに携帯の電源はオフ。


どんな王道修羅場コースだとサッチは通話をしつつリビングに引き返すことにする。
当然げんなり溜息付きで。


「浮気相手とか俺まっぴらごめんよ」
『当たり前だよぃ』


友人(という単語はいささかそぐわない気もするが)の彼女に手を出す男だと思われるのは心外すぎる。
まぁマルコだってそんな事は思っていないのかもしれないが、
あの着信の数がそれを否定する。

そもそもあのマルコはこんなに何かに執着するタイプじゃねぇのに

まぁ、そういうことなんでしょう。



この事態を引き起こしたお嬢ちゃんは、
大変面倒な男に掴まったと、そういうことなんでしょう。


(いつもなら、あーら楽しいで終わるんだけどさー)



サッチはテーブルの上、パキンと固まった様なアンを見て、
玄関での会話のいくつかは聞かれたのだと理解した。

そして通話中のサッチを見上げる迷子になったような縋る瞳。

ふるふると首を振ったのは、電話を代わる事を恐れたからか。
アンは椅子の上で膝を抱いて小さくなってしまった。

「代わって・・・あー、今トイレみてェ。・・・ん、はいはい、食ったらすぐ帰すって」

んじゃ、とサッチはアンを困った様に見ながらマルコへ返事をする。

パチンと携帯を二つ折りにして、それをポケットにしまいながら、さてアンちゃんよ、と声をかける。


「おにーさんにお話をしてちょーだい?」














**





ごめん、とアンはまず呟いた。

何やらとてもまずい事になったのが空気で分かる。

トイレになんて行ってないのに、サッチは何かあたしを庇ったってことだろうか。



「・・・マルコ、怒ってた?」
「あー、そうね、いい具合に」

どうしよう、とこれまた所在なさげに呟くアンはさらに小さく膝を抱える。
その怒りは心配だからだとは伝わらないか、とサッチは苦笑を禁じ得ない。


「どしたよアンちゃん、マルコに言わずにとからしくないじゃん。ほんとは喧嘩してたんか?」

「うぅん、ホントに、何にもないよ」

「アホマルコがアンちゃん困らすこと仕出かしたんじゃねぇの?」

「・・・・・・ち、がう」

違わないでしょその返事は、とサッチはいいから言え、
つーか部屋離れたいってのも気になってんのよおにーさんは、と続けた。

アンはうろうろと迷った挙句、またポツリと言った。




「サッチ、この部屋に彼女のモノある?」

この小娘今俺がフリーだと知っての嫌味か、と一瞬思ったがどうもそうではないらしい。

俺は感傷に浸らないタイプだから終われば一切合切処分しちゃいます」

それを聞いてアンは絶望的な顔をした。
いやいや、俺別に普通の回答よね?とサッチはまるでマズイ事でも言ったのかと思わず自問自答する。



「紅茶があるの」
「へ?」
「マルコの部屋にね、紅茶のパックがあるの」
「・・・あー・・・・そういや、あった・・かな」
「マルコ飲まないの」
「だからアンのじゃねぇの?」
「ううん、あたしんじゃない」

へ?とサッチは首を傾げた。
マルコが不要なものを自分で買い置くわけがない。
そしてアンも自分のものではないと言う。

「前のね、彼女のなんだよ、多分」

死ね、オッサン。

サッチは内心で盛大に言い放った。
このままこの可愛いお嬢さんをこのテーブルに釘づけにして、
死ぬほど食わせて、デザートまでやって、甘やかしまくって、帰りたくなくしてやろうか。

マルコも少しはダメージ受けるだろう。

ああ、チクショウ。
そんな背景だって分かってたらマルコとあんな会話ぜってぇしなかったのに!



多分、いや恐らく十中八九、マルコにはその紅茶が見えていない。
いや目が悪いと言うレベルではなく、
生活に不要なものに意識を払わないという言いかえればよっぽど冷酷な対応なのだが・・・


(アンちゃんにはそう見えないわなァ・・・)

オッサンの内情を斟酌してやって、とこのお嬢さんに頼むのはそれこそ酷い話で、
これはどう考えてもマルコが悪い。世間一般の常識に照らしあわせてちったァ動け。
翌日、いやせめて三日後あたりまでに始末しとけ。


サッチは目の前の椅子のアンをものすごくぎゅむーーっとしてやりたい気持ちにかられた。
・・・いや、堪えましたけれども。





「たまにね、そうやってね、気になっちゃうんだ」

そんなのもう全然なんとも思ってないってマルコは言ったんだけど
それちゃんとわかってるんだけど、

でも、たまに駄目で。


だって、その人が居たとこに、今あたし居るから・・・


語尾がぐしゅと滲んだ。


「考えたら、止まんなくて、あそこに居たくなくて、だから・・・



「ごめんね、サッチ、嘘ついて来ちゃって」


完全に涙声になったアンの隣へ、サッチはよいしょと移動してきた。
椅子をカタンと引いて座り直す。


「ま、嘘っつーか言わなかったことがあるだけ、だろ?」

屁理屈を用いてアンを追いつめないサッチの甘さはとんでもなく優しくて、
アンはますます膝に深く顔を埋めた。

サッチはぽすんとそんなアンの黒髪へ手を置く。


「ちょっとびっくりしたけど、あれよ?最初から俺に全部それ吐いてたら、
もちょっと上手に今日のデートは算段できたのに、それだけが悔やまれる」

あーしくった、馬鹿正直にお前帰すとか言っちゃった。


悪戯っぽく言われた台詞にも、アンは笑わなかった。
相変わらずの滲んだ声でサッチに聞いたのは二度目の質問。


「マルコ怒ってた?」

「いいって、怒らせとけ」

「・・・サッチも怒ってる?」

「おう」
「ご、ごめ」
「ただし、マルコの馬鹿さ加減にな」

お前の所為じゃねェから心配顔はやめなさい、とサッチは少しだけ顔を上げたアンの髪をかき混ぜた。
そのことでアンはふにゃっと顔が崩れて、慌てて椅子の上で抱えた膝に頭を落とす。

サッチはポン、とアンの頭で掌を弾ませると同じ手でおもむろにポケットから携帯を出す。
慣れた手つきで操作すると、相手に構わず喋り出した。


「悪い、気変わったわ。アンちゃんしばらくここに置いとく」

サッチの声にアンは弾かれたように顔を上げた。
相手は、誰?マルコ?どうして?

「・・・あ?黙れこのアホ。お前が色々言わない所為でなぁ、アンちゃん一人で抱えて、」

待って、いい、そんなことマルコに言わないで。

アンは絶望的な表情でサッチに向かって首を振る。
その姿は絶対に視界の端に入っているはずなのに、サッチはそれをあえて無視しているようだった。

「サッチ、やめて」


「泣かせてんじゃ、」
「サッチ!」

ツーツー、とアンの手の中で無機質な音がする。

奪い取ったサッチの携帯は衝撃で切れていた。
その事にアンはホッとして、そして同時に何かとんでもない事をしたのではないかと怖くなる。

どうしたらいいのかわからないから、ただ手の中に持っていると言った風のアンから、
サッチは自分の携帯をひょいと回収すると、終話ボタンを押した。

そしてそれを机へ置きアンの顔を覗き込んだ。

「今度はアンちゃんが怒る番か?」

勝手にアンの状態を告げようとしたことを指して、サッチは言った。
そこにからかうような響きはなく、だからアンは首を振った。

実際何をどう言葉にしたらいいのかわからないのだ。

サッチが何故マルコにそんな事を言ったのかもわからない。
けれどどう見ても喧嘩腰だった。

その前の電話では普通だったのに。
どうして?



「マルコの野郎は言葉が足りなさすぎなんだよな」
あんな仕事してるくせして、とサッチはヤレヤレと首を振る。

「だからアンちゃん、ものすごい面倒かけて悪いけど、ちゃんと思った事は言ってやって」

「・・・・・でも」

「ホントになぁ、こーんな可愛い子に気ぃ遣わせるとかもうマジ信じらんねェ」
いっぺん死ねあの野郎。

サッチはぐしゃぐしゃとアンの頭を掻きまわし、ニッと笑ってアンにしっかり目線を合わせた。

「さっき俺に言ったこと、全部マルコに言ってみ?そしたらアッサリ解決するから」

サッチがそう請け負う根拠が判らなくて、アンは微妙に首を振った。

「お、信じてないな?紅茶のことも、アンちゃん悩ましてるお部屋から逃げたい病も、
全部まとめて解決するって。サッチ様保証付き」


「で、も、マルコ怒って」
「だいじょーっぶ!マルコがちょびっとでも怒ったら、俺がアイツの仕事全部干して灸据えてやっから!」

編集サンが本気出せば結構シャレになんないこと出来ます!

ピースサインをアンに送って悪戯っぽく笑うサッチに、アンもとうとうつられて小さく笑ってしまった。


「すごい、頼もしいね」
「だろー」

ふっふっふ、と自慢顔をするサッチは当然と言わんばかりに宣言する。


「俺アンちゃんの味方だもんよ」
「あり、がと」


よしよし、とサッチは散々ぐしゃぐしゃにした頭を多少撫でつけて体裁を整えると、
というわけで飯の続きだ、と立ち上がった。




**

拍手[22回]

PR
Comment
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
material by Sky Ruins  /  ACROSS+
忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア

 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



我が家は同人サイト様かつ検索避け済みサイト様のみリンクフリーとなっております。
一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
URL;http;//legend.en-grey.com/
管理人:こまつな
Twitter


災害マニュアル

プロフィール
HN:
こまつな
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
カウンター