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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です

足の親指の爪の、特に硬いところをぱちんといったところで、ナミさんが「ビビがね」とテレビを見ながら声をあげた。


「うん?」
「猫を飼い始めたんだって」
「へえ。シャム猫?」
「知らないけど。なんでシャム?」


いや、とおれは口ごもり、少し離れたところにあるごみ箱を引き寄せた。
我が細胞のかけらたちをぱらぱらと落とし入れる。


「なんとなく。リッチなイメージ」


あはは、とナミさんは乾いた声で笑った。
おれの言葉に笑ったのかと思ったが、テレビから目を離さないのでもしかするとテレビの内容に笑ったのかもしれない。


「ビビちゃんに会ったの?」
「うん。ホームセンターに行ったら、ばったり」
「ビビちゃんがホームセンターにいたの? てか、ナミさんも行ったの?」
「うん。液体肥料を買いに」


ナミさんは最近、家庭菜園に凝っている。
家庭菜園と言っても、育てているのはプチトマトの苗をひとつ、ベランダに置いた小さな鉢で育てているだけだ。
トマトは栄養価も高いし色どりにもなるしで重宝する。
美容にもいいのでナミさんは好んで食べる。
だからおれもいきんで買う。調理する。
が、単価はそれなりに安くない。けして高い野菜ではないが、価格の変動が大きく、スーパーで「今日はトマトはやめとくかあ」とナミさんが息をつくこともままある。
だからなんとなく、「じゃあ家で育ててみる?」と口にしたら、ナミさんはさっそく休みの日にトマトの苗を買ってきた。
「家で作れるなんて、早く言ってよね」と鼻息を荒くしながら。
一緒に買ってきた小さな鉢植えを見て、こんな狭い所ではたしてプチトマトと言えど育つもんかねと思ったが、嬉しそうに苗を植えつける彼女の、丸首のセーターから覗く白いうなじを見ていると、まあいいかという気になり、「早く実がなるといいね」と声をかけていた。

そう、それで猫の話だ。

「ビビちゃんは猫のエサでも買いに来てたのかな」
「ううん、トイレの砂とかそういうのを探してたみたい。エサは手作りなんじゃない」
「ああそっか。だろうな」


彼女の家の驚くべき先住ペット、らくだの「まつげ」は毎日ネフェルタリ家特製のメシを食んでいるのだから、猫にもきっと人間同等の豪華な食事が与えられているに違いない。


「帰るとね、玄関のところで待ってるんだって。寝るときはいつのまにか布団の中にもぐりこんでくるから、一緒に寝るんだって」
「へえ」
「……いいなー」


相変わらずテレビから目を離さないままそう呟いた彼女に、おれはゴミ箱を押しやり顔を上げた。


「ナミさん、猫飼いたいの?」
「ううん、別に。お金かかるし」
「いいなーって、今言ったよ」
「具体的に猫が欲しいなって思ったわけじゃなくて、ビビがあんまり楽しそうに話をするから、猫のいる生活もいいんだろうなって思っただけよ」


ほら、とナミさんは二人掛けソファの自分の隣の空間をポンポンと叩いてみせた。
ちなみにおれはソファの下の床に直接座り込んでいるので、彼女の顔を仰ぎ見る形になる。


「ここに猫が丸まってると思うと、ちょっと癒されない?」
「そこに猫が座っちまったら、おれの座るところねェじゃん」


ぷっとナミさんは吹き出した。今度こそおれの言葉に笑ったようだ。


「サンジ君か猫かってわけね」
「ちょ、ちょっと待って」


なぜそういう選択になる。
おれだってナミさんが帰ってくるときは玄関まで行っておかえりと言うし、寝るときは一緒の布団で彼女を温めてやれる。
それに猫はメシを作ったり電球を替えたり、立てつけの悪い戸棚を直したりもできない。
おれはできる。

慌ててソファに肘でよじ登り、彼女の隣に腰かけて架空の猫の空間を奪ってやる。
ナミさんはきょとんと丸い目をこちらに向けた。


「ほら、ここそもそもペット禁止だから」
「まあね。だから飼うつもりじゃないんだって」
「ナミさんにはトマトがいるじゃん」


おれもいるし。


「猫といっしょにはならないでしょ」


猫だっておれと一緒にならないはずだ。
しかしナミさんはカーテンの閉じたベランダに愛しげな視線を向けた。


「早く生らないかなあ」
「まだ花も咲いてないからさ、夏までもうちょっとかかるよ」


ね、と意味もなく呟いて、空いているナミさんの手を取った。
ほっそりとした指に自分のそれを絡める。
あまい気配を漂わせようとしたはずが、ナミさんは不審な目を向けて「なによ」とおれを見上げた。


「に、」
「に?」
「……にゃーん」


さっとおれの手を振りほどいたナミさんは立ち上がり、「あったかいの淹れようかなあ」とすたすたキッチンへと歩いて行ってしまった。
その肩が震えているのを見て、おれは満足した。





***

一緒に暮らすサンナミシリーズその6。
ばかじゃないのって冷たく言われてもわりとゾクゾクできるけど、
ウケを狙ってそれがヒットすれば嬉しいサンジです。

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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