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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です

──こちらは昨日から大雪で、朝から店の玄関が雪に埋もれて開かねェとかでひと騒動ありました。
こんな日でも酔狂なお客さんは(ありがたいことに)来るもんで、仕事が休みになったりはしません。
とはいえ来週のクリスマスには呆れるくらい予約が詰まってるので、今はクリスマス前のひと段落ってとこで客入りはぼちぼち。
てなわけで今日は2週間ぶりに丸一日休みがとれました。
今から君のクリスマスプレゼントを選びに行こうと思います。










サンジ君からの手紙を2段目の引き出しにしまい込み、部屋のカーテンを大きく開けた。
薄曇りの空は冬らしく、見える景色はなんとなく灰色がかっていて、窓が結露している。
昨日一日降り続いた温かな雨は夜のうちにやんで、今は地面が少し湿っている程度。雪なんて振る気配もない。
部屋着がわりの毛羽立ったパーカーを脱いで、裏起毛のセーターを身に付ける。
髪をひとつにまとめ、薄めのコートを羽織って、淡いクリーム色のマフラーをぐるりと巻いた。
買い物に行ってくる、とノジコに告げて家をでる。
ブーツに足を突っ込むと、ツンと冷たかった。

並木道は枝ばかりの木々が寒そうに立ち並び、根元には落ち葉がふかふかと敷き詰められている。
ときおり緑の葉を生い茂らせた木がぽんとあらわれ、そこには身を寄せ合って止まる小鳥の姿があった。
うってかわって街の中は店先に商店街のアーケードにバスのロータリーに、あらゆるところに電飾が巻き付いている。
とはいえ昼間なので光は灯っていなくて、露骨に電飾のコードが目についた。
ショーケースの中はクリスマス商戦まっただなかというように、でかでかと描かれたセールの文字にプレゼントやリボンの飾りつけが目立つ。
すれ違う人は心なしかいつもより身を寄せ合って、歩みもゆっくりとしている気がする。
例年より暖かな日になりそうな今年のクリスマスは、私のように人々は少し薄着だ。

目についた雑貨屋にふらりと立ち寄る。
ビビと何度か来たことのある店で、地下1階から5階までフロアごとジャンルに分かれてたくさんの品がそろっている。
一歩店内に入ると、暖かいとはいえ12月の外気になぶられ続けた頬が緩む。首元を引っ張ってマフラーを少し緩めた。

わかってはいたけど、ファンシーな女性向けの雑貨が多い。
エプロンを手に取って、花柄はだめでしょ、とまた戻す。
シリコン製のキッチン用品を見て回って、彼が琺瑯の高価な鍋一式を使っているのを思い出す。
部屋ばきのスリッパは……あっちの家だと部屋の中では何を履いているんだろう。
なんにしろ、フリルはなしだ。

望み薄と知りながらとりあえず5階まで昇りきって、単調な足取りでまた1階まで降りる。
外は少し人ごみが増していた。

どこかでお昼を食べようと目的を変えて街をぶらつき、こんがり焦げた焼き魚の香りに引かれて定食屋さんに入る。
日替わりの焼き魚定食を注文し、レジ近くのテレビを見るともなしに眺めていたら携帯が着信を告げて震えた。

「はいはーい」
「もしもしナミ、今日は何時に来られそうかしら」

ロビンの声の後ろからは、いつもの仲間たちのやんやと騒ぐ声が散り散りに聞こえた。

「16時には行こうと思ってるけど。なに、もうあいつら集まってるの?」
「えぇ、9時からいるわ」

9時! と思わず叫んだ。二つ隣の席の2人客が同時にこちらを振り返ったので、肩を縮めて声を落とす。

「そんな時間からなにやってんのよ」
「今はね、えぇと、折紙でほら、わっかを作って……部屋を飾りつけてるわ」
「何歳児だ」

ロビンはあくまでも楽しそうに笑って、「お料理は出来合いのを頼むつもりだけど、いいかしら」と言った。

「うん、一から作るのも手間だしね」
「ケーキはウソップが用意してくれるみたいよ」

こんなとき、彼がいたらね。
その一言をロビンが飲みこんでくれたのがわかる。
だから私も触れたりしなかった。

なるべく早く行く、と伝えて電話を切った。
「何歳児だ」のくだりの辺りで、定食は届いていた。
魚の皮がぱりっと焼けていてこうばしい。
私には少し塩辛く感じた。


温かいお茶を飲んで、身体の中からあったまったところで店を出る。
日が高く、道を行く人の中には上着を手に持っている人さえいる。
とはいえけして暑いわけではないので、私はきちんとマフラーを巻いて歩き出した。

紳士服のショップを覗いていると、すぐに店員が声をかけてくる。
プレゼント用ですか? の決まり台詞に、えぇ、まぁ、ともごもご答えつつ後ずさり、結局何も買わずに店を出ること数軒。
これまでサンジ君へのプレゼントを見立てたことも何度かあるんだから、気後れすることなんてなにひとつないのに。
次の店でも、これじゃないんだよなぁ、とジャケットやらコートやらをちらちらひっくり返し、値札を探してがさがさやってはため息をついて店を出た。

店を出たところで、見知った顔にばったりと出くわしてお互いに足を止めた。
まぁ! の形に口が開いたかと思えば、みるみるうちに顔がほころぶ。
ダークブラウンのタートルネックに水色の髪が良く似合っていた。

「ナミさん! 奇遇ね」
「わ、びっくりした。ビビはまだ行ってなかったんだ」
「えぇ、みんなへのプレゼントを用意してからいこうと思って」

そう言ってビビが両手に掲げたえんじの紙袋には、ビニール包装された品物がいくつも入っていた。

「うわ、すごい。そんなの用意しなくてもいいのに。たぶん誰もそんなの準備してないわよ」
「いいの。私がやりたいだけだから。それに選ぶの、すごく楽しかったし」

みてみて、とビビは往来でがさがさ紙袋を漁り始める。

「これはルフィさん。彼はたぶん一番大きいのを欲しがるでしょう。こっちは長鼻くん。ミスターブシドーへのプレゼントが一番重たくって……あ、中身はまだ内緒よ」

いたずらっぽく笑うビビは心底ここちよさそうに笑う。
私のもあるんでしょうね、と尋ねてみたら、もちろん、と自信満々に鼻先を上げて答えた。

「私、あとひとつ用意したら向かおうと思ってるんだけど。ナミさんはまだ買い物の途中?」
「うん、あとから行くわ」
「そう、今日は暖かいから街中も歩きやすいものね」

ふふっと唐突にビビが笑み零れた。

「なに?」
「ううん、ナミさん随分暖かそうなマフラーしてるから。今日は少し暑そうだなあって」

クリーム色のマフラーに手を遣る。なめらかな手触りに指先が埋まる。

「──うん、してきたんだけど結構暑いわね」
「明日は寒くなるみたいだからあったほうがいいかもね。似合ってるわ」

それじゃあとビビはふさがった両手を小さく動かして、揚々と歩いて行った。

手に触れたマフラーをほどいてみる。
冷たい空気が首筋に入り込んできて、少し気持ちいいくらいだ。

──サンジ君、ほんとうに遠いところにいるのね。

そのことが妙に実感されて、耐えようもなく苦しくなった。

サンジ君のいるところは本当に本当に寒いのだろう。
マフラーと薄手のコートなんてありえない、ダウンコートにマフラーに毛糸の帽子に、靴下を何枚も重ねて厚い手袋をはめて、彼は店先の雪かきをしたのだろう。
吐く息は濃く白く、湿った欧州の空気に彼の金髪は凍ってしまいそうになったかもしれない。
店に戻って熱いコーヒーを自分で淹れて、そうだナミさんにはマフラーを送ろうと彼は思い立つ。
ここはこんなに寒いのだから、彼女の冬もきっと寒いはずだ。
風邪を引いたら大変だから。
彼女はすぐに薄着をしたがるから。


今から君のクリスマスプレゼントを選びに行こうと思います。
──選んできました。
これを巻いて、暖かくして、風邪を引かないように。
絶対に君に似合うと思う。


今年のクリスマスは帰れないんだと、まだ秋の頃から聞いていた。
彼の方が泣きそうだった。
コースのメインを任されるようになったから、かきいれどきのクリスマスに帰ることはできない。

そんなの全然かまわないわー、でもかわりにクリスマスプレゼント奮発してね。
まかせてくれと彼は胸を叩いていた。

マフラーには、瀟洒なダイアモンドのネックレスがひっかかっていた。

──ばかね。本気にしちゃって。


ぐいと目元をぬぐって、私はマフラーをきつく巻き直した。
今ここに彼がいなくても、サンジ君のことを思えば歩く気力がわいてくる。
さぁさぁクリスマスも本番よと言わんばかりに、腕を組んで歩くふたりの姿が街の中で目立ち始めた。
そんな彼らの間を縫うように、ひとりタッタカ顔を上げて歩いていく。


ゆたんぽ、でいいか。
温かいし。向こうでも使えるし。あんまり高くないし。
かわいいカバーも買ってやるかと、電飾が灯り始めた街を私は歩いていく。

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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