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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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どうしてこんなことになったんだろ、と陳腐な映画のヒロインみたいに頭を抱えた。
頭でも痛いの、とロビンが本を読む片手間に尋ねる。返事はしなかった。
「どうしてこんなこと」と声に出してみても誰も答えは教えてくれないし、自分の頭で明快な答えがはじきだされる気配もなかった。
「こんなこと?」とまたもロビンがオウム返しに問いかける。

だって毎日顔を合わせるのだ。
そのたびにあぁ、とわけもないため息をつきたくなるのだ。
私が理解できない気持ちを彼が理解できるはずがない。
わかっているのに止まらない。
サンジくんが好きだ。
これは恋だ。






ねがいごと三回





ナミさん、口にチョコレートついてるよ。
その一言で堕ちた。ズドーンと堕ちた。
「ちょいと失礼」と節くれだった指で私の口もとを拭って、「ちいせぇ子みたいだな」と冗談交じりで笑った。
咄嗟に返事をできなかった私に、サンジ君は指先のチョコレートを手元の布巾で拭って熱々のポットに手を伸ばす。
コーヒーでいい? と訊かれたのに、私ははいとも言えずに彼が手を拭った布巾を凝視していた。

「ナミさん?」

ハッとして、「なんでもない、ありがと」と小さく言ってごしごし口元を擦った。
布巾についた茶色い染みが決定的にそこにある。
痛いくらい口元を拭って、拭い去れない気持ちの変化に愕然とした。



このところ船はしばらくどこにも停泊していない。
というのも、2週間前に寄った港町がとても食べ物が豊富で、それも安くて、大量に詰めるだけ船に詰めて出航したから寄港する必要がないのだ。
食料事情も安心、天候もこのところ大きな嵐もない。ルフィが騒ぎたくなるような心躍る島も幸い現れていない。
一度サイクロンに引っ掛かりかけたけど無事逃げ切って平穏な日々が続いている。
日々が平穏であればあるだけ、余計なことばかり考えてしまう。

朝起きて、洗面所の順番待ちをしているとき。
私の前でウソップがバシャバシャ水を飛ばしながら顔を洗っている。
そのおしりのあたりをぼんやりと見つめていたら、ぽんと肩を小突かれて振り返った。
小麦粉の袋を二つ抱えたサンジ君が、「ごめんナミさん、当たっちまって」と苦笑する。それから「おはよう」と。

「おはよー」
「紅茶淹れてあるよ。朝めしもすぐできるから待っててな」
「ん」

彼が去った後、ウソップが顔を洗い終わり、私が洗面台の前に立つ。
小さな鏡に映った姿がぴょんぴょんと寝癖だらけの頭なのを見ると、「もー!」と叫んで自分を殺してやりたくなるのだ。
突然怒り出した私に、立ち去る間際のウソップがぎょっと振り返る。
見てんじゃないわよ! と当り散らしてブラシで髪を撫でつけた。
最悪、最悪、と胸の内で繰り返すも、なにをこんなに悲しくなるのか自分でもわからなかった。

朝食を済ませたあと、三々五々とみんなが好き勝手に散って行く。
私は海図と双眼鏡を手に持ち甲板に出た。
頬を撫でる風は乾いて冷たい。ときおり鋭く笛のような音を立てた。
まっすぐ前を向く船首の先で、メリーが柔らかく笑っている。

「好きって言ったらサンジ君困るかな……」

すきとか、きらいとか、ばかみたい。
男とか女とか、付き合うとか別れるとか、面倒で仕方がない。
それなのにずどんと落ちたこの心はもう恋心以外の何物でもないとわかる。
それでいて私のことをすきだという彼の心が恋心であるのかは、さっぱりわからないのだった。
ぐらんと船が揺れると波しぶきが跳ね、足元を少し濡らす。しぶきを浴びたメリーも困った顔に見えた。

「そりゃそうかー」

しばらくしたらこんな気持ちも、流れ星みたいにすっと消えてなくなるかもしれない。
思えば芽生えも突然だった。勘違いだとしてもおかしくない。
そうだといいなという気持ちと、そうだったらどうしようという気持ちの両方が混ざり合ってはちりちりと痛む。
メリーに相談してても仕方ないか、と踵を返した。

「──おっと」

視線を落として振り返った矢先目に飛び込んできた革靴に、ぼとんと口から心臓が出ていきそうになる。
サンジ君は見張り用のブランケットを腕に掛け、頬をほりほりと掻いた。

「あ、寒いかなって、これ」

はは、と笑ったサンジ君は火のついていない煙草をぽろりと甲板に落とす。
サンジ君は煙草を落としたのに気付いて片手で受け取ろうとするも、手にぶつかるだけで煙草はやっぱり甲板に落ちた。
明らかに目を泳がせ、落とした煙草を拾おうともしないサンジ君に血の気が引いた。
──聞かれた。

「あっ、ありがと! ちょうど寒いなーって思って」

つかつかとサンジ君に歩み寄り、奪うようにブランケットをひったくる。
彼はハッと身じろいだ。

「あの、ナミさ」
「あったか! 最高! あったか! 気が利くわねーありがとう! 今のところ高気圧で安定してるみたいだけど、私もう少し海見てるわね」

子どもがやるみたいに頭からブランケットにくるまって彼に背中を向ける。
ああ、うん、とサンジ君は呆気にとられて立ち尽くしているようだった。
うわ、うわ、うわ、と無為な言葉が頭を駆け巡り、未だ立ち去らない彼の気配に背中がじりじり熱くなる。
聞かせるつもりなんてなかったのに、言うつもりもなかったのに、どうしてくれるのだと自分に対して沸騰するような怒りが沸く。
それでいて熱くなる頭の芯はとても冷えていて、お願いだから何か聞いて、今なんて言ったんだって聞き返して、そしたら好きだって言っちゃうから。もう言っちゃうから、と確かに叫んでいるのだった。
もうどう転んでもいいから、と。

しかしサンジ君は「そっか」と短く返事をすると、いつもの柔らかい声で「あったけー飲みもん準備しとくから、欲しくなったらキッチンな」と告げてあっさり立ち去ってしまった。
あ、と呟く。胸が冷えていく。
振り返るとちょうど彼がキッチンの扉の向こうに消えるところだった。
いなくなった空間を見遣って、呆然とした。
──聞こえてなかったのかしら。
だとしたらそれはそれで……と考えかけたところで足元に転がった真新しい煙草が目に入る。
ぱーんと頬を殴られたみたいなショックで、思わずよろめき船縁に肘をついた。
聞こえてないわけないじゃないか。あんなに狼狽えて目を泳がせたサンジ君なんて初めて見た。
聞こえていたのだ。
「好きって言ったらサンジ君困るかな」というあの言葉を聞かれてしまった。
そして現に、彼は困ったのだ。

船縁で肘を支え、その手で顔の片側を覆う。目を閉じると頭が重く、ごろんと海に落としてしまいそうだった。
ナミさん好きだー、と毎日のように聞いていた彼の声を思い出す。
私はこれからずっと、彼のこの声を思い出みたいに抱きしめて過ごしていかなきゃいけないんだろうか。
ちらりと視線を上げ、進行方向へまっすぐ伸びた白い首を見上げる。
──メリー、こういうときどうしたらいいの。
どうしたらいいの!




昼ごろになると薄い雲が晴れ、さんさんと陽気な日差しになってきた。
甲板は温まり、自然とみんなが外に集まりだす。
今日の昼飯は外で食おうぜーとルフィが寝転がりながら言い、サンジ君がサンドイッチをこしらえ始めた。
ロビンが「手伝うわ」と言ってキッチンへ向かうと、気まぐれにチョッパーも「じゃあおれも」と言って後を追う。

「あなたも暇ならどう?」
「え」
「作らない? サンドイッチ、一緒に」

ナミもいこーぜーとチョッパーが無邪気に手を振る。
暇そうにぼんやりしていた手前断りづらくて、「あ、うん」とつい答えてしまった。
ロビンのあとに続いてぞろぞろキッチンへ入る。
人気に振り返ったサンジ君は、いつものようにへらっと笑って「どうしたの?」と言った。

「お手伝いさせてもらえないかと思って」
「えっうそ、ロビンちゃんとナミさんが?」
「サンジ! おれもいるぞ!」
「テメーいらねぇから帰れ」

ひでーと半ば本気で起こるチョッパーをはいはいといなしながら、サンジ君は「いや実際ありがてぇな、量作るから作業多くて」と手元を動かしながら言う。
フライパンで二枚ずつパンを焼いていた。

「わざわざ焼いてんの?」
「ん、香ばしくて美味いぜー。それじゃロビンちゃん野菜洗ってくれる? チョッパーはロビンちゃんが洗った野菜をちぎって、ナミさんはおれが焼いたパンにバターを塗ってくれ」
「私とナミは逆の方がいいかも。ほら、洗い場は一つだから」

ふわっとテーブルにいくつもの手が咲き乱れ、サンジ君はなるほどとうなずいた。
それぞれが位置に着き、黙々と作業を始める。
レタスをザバザバと洗い、水気を切る。隣にいるチョッパーに渡すと、彼は蹄を器用に動かしてレタスをちぎった。
きゅうりは洗い、適当な大きさに切る。
サンジ君に言われ、チョッパーがそれを塩で揉んだ。
水を止めると、背後のテーブルでロビンの手が何本も同時にジャッジャッとバターを塗る音が聞こえてくる。
洗って切った野菜をそちらに持っていくと、サンジ君が「まかせるから適当に挟んで」と大量のチーズとハムを持ってきた。
そしてテーブルにいる私たちを見て、でれっと頬を緩める。

「あーいいなー、最高の景色だ。おれのためにレディ達が料理を」
「あんたのためにじゃないけど」

そこまで言って、ハッと口をつぐんだ。
なんだかすごくいつも通りだったことに驚いた。
ぽんぽんと口から飛び出す掛け合いにあまりに慣れていて、その意味だとか深く考えていなかったことに気付く。
さっきあんなことを聞かれてしまってもまだこんな憎まれ口を叩くなんて、と自分に呆れながらちらりと彼の方を見上げたが、サンジ君は意に介したふうもなく鼻唄をうたいだしそうな顔で缶詰を開けている。
──やっぱり聞かれてなかったのかもしれない。

サンジ君はくるりと背を向けてコンロへ向かうと、深い鍋に火を入れた。

「まだ何か作るの?」
「これじゃ肉っけが足りねーって騒ぐだろうから、もう一品。あーロビンちゃん、使って申し訳ねェんだけど、食料庫から干し肉2枚取ってきてくれねぇかな。あとチョッパーは手ェ洗って、そこにしまってある赤いシート甲板に出しておいてくれ」

はーいと二人が答え、各々言われた通りに部屋を出ていく。
じゅわっ、と油の跳ねる音を背中で聞いて、「え?」と彼の方を見遣る。
サンジ君はフライパンにばらばらと何かを振り入れてから、唐突にこちらを振り返った。
口元を強く引き結んだその顔に、「げ」と口から飛び出しかける。
つかつかと歩み寄ってきた彼は、私の腰かける椅子に手を置いて「聞いてもいい?」と短く鋭く言った。

「え、やだなに」
「ナミさんさっき」
「なにも言ってない」

サンジ君がわずかに眉を寄せた。
ああばか、これじゃ言いましたって言ってるのと同じじゃないか。

「ナミさんさっきおれの」
「やだ、やだ、こんなところで話したくない」

どんどん近づいてくる真剣な表情が恐ろしくて、顔を背けて目を伏せた。
サンジ君は少し考えるように口をつぐんでから、「じゃあ」と言う。

「今夜ここで待ってる。野郎共が寝たあとに。ならいいだろ」

ぱぁんと後ろで何かがはじけた。
サンジ君がふっと私から遠ざかり、火をつけたままのフライパンに戻るとトングで中身をひょいひょい取り出した。
まるで何事もなかったかのようなブレのない手つきに呆気にとられる。
ふーんとにんにくの香りが暖かい湯気と共に流れてきた。
ロビンが干し肉を手に戻ってくると、サンジ君は変わらぬ緩み切った顔で「ありがとロビンちゃん」と笑った。

その昼食でどのサンドイッチを食べたのか、私はひとつも覚えていない。




夕食を終えると飲んだお酒のせいかかーっと顔が熱くなって、緊張してるんだと思った。
でもひとりの部屋に戻るとなんだか心が落ち着いて、ついでに酔ったような気分も冷めて、なんだ気のせいかと息をつく。
お風呂から戻ったロビンと交代してシャワーを浴びていると、突然居ても立っても居られない気になってぎゅっと必要以上にノブをひねる。
すると間違えてお湯を冷水にしてしまい、冷たい水を頭から浴びてヒャーと叫んだ。
なにやってんだろ、と馬鹿馬鹿しくなるとその居ても立ってもという感情も消え去った。
まったくいそがしい。

皆が寝静まるにはまだ早い。
じりじりと月が昇っていく。

いやなら行かなくてもいいじゃない。何の事だかわからなかったの、とすっぽかして明日ケロッとした顔で朝ごはんを食べてしまえばいい。
何度もそんなことを考えて、結局キッチンの扉を開けたのは夜中の0時を回った頃だった。
サンジ君はちょうどエプロンを外して、口に咥えた煙草に火をつけていた。
顔を上げて私を認めると、彼も少し緊張した面持ちで、それでも少し笑って「何か飲む?」と尋ねた。

「うん、じゃあ」
「冷たいの? 温かいの?」
「……温かいの」

サンジ君がやかんを火にかける。
私はぐるりとテーブルを回って、調理場から遠いほうに腰かけた。

「来てくれねェかと思った」

背中を向けたままサンジ君がぼそりと言う。
急に核心に近づく一歩を踏まれたことにどきっとして、咄嗟に答えられなかった。
しゅー、とやかんが鳴りはじめるまで、私もサンジ君も顔を合わすことなく黙りこくっていた。
波の音よりも大きく、ゆだる水が音を立てる。

サンジ君は厚めのグラスを二つ手に取って、そこにウイスキーと何かの粉、はちみつを入れ、お湯を注いだ。
サンジ君も飲むんだ、とその手つきを眺めて思う。
くるりと振り返った彼は机越しにグラスを差し出した。

「熱いよ」
「ありがと……」

受け取ったグラスがとても熱く、とてもじゃないけどまだ飲めないやとテーブルに置いたとき、彼が口を開いた。

「おれはナミさんがすきだよ」

びくっと肩が跳ねた。
彼の言葉より、自分の過敏な反応に何より驚いた。
湯気が鼻先を濡らすまま、じっと手元に目を落とす。
「すきだよ」と彼は繰り返した。

「──そう、は、知ってるわ、だって」

毎日毎日聞かされてるんだもの。
サンジ君は咥えていた煙草を灰皿に置き、立ったまま私と同じ飲み物に口をつける。
その仕草が知らない人のようで、見ていられないと思った。

「おれは知らなかった」

サンジ君がテーブルにグラスを置く。

「ナミさんがおれのことを好きかどうかなんて、ちっともわからねェままだったよ」

彼はゆっくりとテーブルを回って、こちらに近付いてきた。
今すぐ席を立って距離を取りたい気持ちがしたが、咄嗟に脚が動かない。
サンジ君は片手で口元を覆うように撫でてから言う。

「独り言聞いちまってごめんな、なんていじわるな言い方したくねぇんだけど」
「じゃ、あ、もうやめて」

俯いて早口に言った。
サンジ君が足を止める。

「忘れて、なにも聞かないで。私も何も言わないから」
「──無理だよ」
「無理じゃない。いいからなにもなかったことにして。お願い」

サンジ君が急にすとんとしゃがみこんだ。
突然のことに驚いて足元の彼を見遣ると、私を見上げる顔と目線がかち合う。
何か言うより早く膝に置いていた左手をがっと掴まれた。

「なんでだよ、なんも問題ねーだろ。おれはナミさんが好きだ、ナミさんもそうだとしたら忘れる必要なんてどこにもない」
「い、いやなの、私が! こんなの絶対に嫌」
「こんなのってなんだよ」
「やだ、もうやだ離して来るんじゃなかった」

振りほどくつもりで立ち上がると、彼も立ち上がり私の手を握ったまま追いすがるように距離を詰めてきた。
がたんと大仰に木の椅子が音を立てる。

「は、離せっつってんでしょ!」
「なにがそんな嫌なんだよ、ぜんぜんわかんねぇ。おれのこと好きだってことじゃねぇの」
「だからそれがいやなの! すきだとか、そういう」

ばかみたい、と呟くと、サンジ君は私の手を離さないまま傷ついたように動きを止めた。
ばかみたいだ、もうこんなの、全部。
こっそりこんなところで顔を合わせているのも、人の耳を気にして少しひそめた声でこんな話をすることも、私の手を掴む彼の手が冷えていることも、全部全部。

「──なんにも、ばかみたいじゃねェと思うけど」
「いいの、もうわかんない」
「ナミさん抱きしめていい?」
「はっ?」

ぐんと腕を引かれて逃げる間もなく顎のあたりに彼の肩がぶつかる。腕の上から閉じ込められ、身動きが取れない。

「ちょ、あんたね」
「ナミさんすげぇいいにおいする」

鼻先で髪を払いのけ、こめかみの横辺りに顔を埋められる。
う、と思わず呻いた。
柔らかい何かが耳に触れ、足が震える。

「ずっとこうしてみたかったんだけど。もしナミさんもおれのこと好きならどんなにいいだろうって」
「勝手なこと言わないで」
「ナミさんはそういうこと、考えなかった?」

小声で訊かれて思わず考えた。
意外と身長差があるのねとか、口当たりのいい言葉を吐くくせに抱きしめる力は強いんだとか、やっぱり彼のこれはいわゆる恋心だったのだとか、実のところ知りたくてたまらなかったけどできるなら知りたくなかったことを考えた。
わかりきってることを聞かないでよ、と腹が立って俯いた。
一度抱きしめられたら癖になりそうで。

サンジ君は私を抱きしめたまま、あやすようにゆらゆら揺れた。

「なんもこわいことねーよ」
「……誰も怖いなんていってないんだけど」
「そう?」

からかうような声音にイラついて、こぶしでどんと肩を叩いてから背中に腕を回した。
抱きしめ返すと安心して、なにをいやだいやだと言っていたのかわからなくなりそうだった。
そのわからなさが怖かったんだと思い当たる。
だって彼を目で探している隙に殺されちゃったりしたら、私も彼もたまらないじゃないか。

「──サンジ君、いいにおいね」
「まだ風呂入ってねぇんだけど」
「美味しいにおいがする」
「あ、なんかそれやらしい意味?」
「ばかちがう」

サンジ君は短く笑うと、さっと私の顔を持ち上げキスをした。
至近距離で目が合い、鼻先が触れる。

「うわ」
「うわって、ナミさん」
「やだなんかやっぱもういや、離して」

両手をばたつかせて彼の腕からもがきでる。
「えー」と言いつつ私を解放するサンジ君に、私の方が名残惜しく感じ、理不尽だと思う。

「もういいでしょ、終わり、この話は終わり!」

椅子に座り直し、ぬるくなったグラスに口をつける。あ、おいし、と本音がこぼれ出る。
サンジ君ががたがた椅子を引いてきて、私の隣に寄り添うように腰かけた。
にんまり口角を上げて、「えへへ」と私にしなだれかかる。

「ちょっともう、やめて」
「ナミさん意外と奥手だね」
「だっ……」

殴るわよ! と隣を睨むが「そういうのも割とすきだよ」と彼はけろっとしているので振り上げたこぶしの持っていき場がない。

「いつかナミさんの口からちゃんと聞きてーなー」
「知らない」
「そしたらおれ、食い気味におれもすきだって言いたい」

ちらりと彼を見る。
試すような生意気な顔で、サンジ君も私を見る。

「聞きたくない?」

口を開きかけ、ぎゅっと閉じる。

「私相手に駆け引きしようなんて百年早いのよ!」

うへへと彼は笑い、「待ってるよ」と私の肩にキスをした。

拍手[32回]

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



我が家は同人サイト様かつ検索避け済みサイト様のみリンクフリーとなっております。
一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
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