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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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グランと大きく身体が揺れた。ざんと聞き慣れた音がして、波が船にぶつかったのだとわかった。
それに揺り起こされるようにして意識が浮上してくる。
敷布とはまた違う暖かさが身体を包んでいて、またそれが眠気を誘う。
夢現を行ったり来たりしていると、くっと押し殺した笑い声がすぐ近くから聞こえた。
 
「半目になってるよい」
「…ん、マルコ…?」
 
薄く開いた目の隙間から見えたのは、そっちこそと言いたい程の眠そうな目。
くっと身じろぎして、あれ、と違和感を覚える。
が、すぐにそれはマルコの太い腕があたしの身体に乗っかかっているからだと気づいた。
 
 
「…なんでマルコがいるの…?」
「酔っ払いの配達ついでだよい」
「…よっぱら…イタッ、」
 
突然、頭の中で工事でもしてるんじゃないかという程の衝撃が響いた。
これは酷い。
 
「…頭いたぁ…」
「飲み過ぎだよい、アホ」
 
マルコはそう言って小さく笑ったので、ああマルコが大部屋から運んでくれたのかと漸く頭の整理がついた。
 
 
「で、なんでマルコはここで寝てるの」
「…自分の手に聞いてみろい」
 
手?
マルコの視線の先を追ってみると、そこにはしっかりとマルコのシャツを掴む手が。
 
 
「…あははー」
「あははじゃねぇよい」
 
ごつんと頭突きが降ってきた。
マルコの重い腕が乗っかって身動きの取れないあたしは防ぐ術もなくまともにくらった。
 
「…ったく、」
 
くああああ、と大きなあくびを遠慮なくかましたマルコの目の下。薄っすらと色が違う。
 
「…マルコここで寝てたんだよね?」
「ん?ああ、よい」
「寝れた?」
「……ぼちぼち、寝たよい」
「…ふーん」
 
 
その割には、昨日一睡もしてませんと主張するかのように薄く隈が出来ていた。
 
 
「…あたしがマルコのベッドで寝たときは爆睡だったんだけどな」
「おめぇと違って繊細なんだよい」
 
 
嘘だ、と笑いを零したとき、ふとマルコの細い目がさらに細くなった。
なんとなく、口元も怒っているかのように。
それを見て、昨日怒られた記憶がのっそりと上がってきた。
 
 
「…あ、…昨日、ごめん…」
 
慌ててそう口にすると、マルコは少し片眉を上げてからふっと笑ってくれた。
 
「別にもう怒っちゃいねぇよい。次したらマストから吊るすがな」
「ぎゃっ、もうやだ」
 
懐かしいが恐ろしい記憶が蘇り背筋が寒くなる。
そんなあたしを尻目に、マルコはくつくつと笑った。
 
ふいに近付いてきた顔に、またあたしは防ぐ術もなく。
生暖かいものが唇にあたった。
 
 
「おはよう」
「…あ、おは、よ…」
 
 
さも当然のように交わされたそれに目を丸めるあたしを知らんぷりで、マルコは上体を起こした。
小さく震えている背中が、また欠伸をしているのだと物語る。
 
 
「…なんか、変なの」
「…ああ?」
「マルコが優しい」
「どつくぞ」
 
 
マルコは手早くいつものグラディエーターサンダルを履き、ミーティング遅れるなよいとだけ行って立ち去ってしまった。
残されたあたしは未だに覗く違和感の正体に、首を傾げるばかりだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あ、マルコお前昨日あれから何処行ってたんだよ、探したのに」
「んー、ああ…よい、」
 
曖昧すぎる返事を返すと、まだセッティングされておらず垂れ下がった髪を弄りながらサッチがおや、と口角を上げた。
 
 
「…お泊りですかマルコさん」
「…そんなんじゃねぇよい」
 
またまたぁ、とつついてくる野郎の足を踏み潰しながら自室へと向かう。
とにかく風呂に入りたかった。
熱い湯を浴びて頭を冷やしたい。
 
じゃあアンはもう起きてんのかー、と足の甲を摩りながら呟くサッチをつと見やると、ん?と眉を上げる。
 
 
「…あー、お前、よい」
「おう、オレも好きだぜマルコ」
「黙れ沈めるぞ。
…ルフィ、って奴、知ってるかい」
 
るふぃい?と首を傾げる。
 
「いや知らねェけど」
「…そうかい、」
 
それが?と続きを求める視線を無視して、オレは自室へと入った。
 
 
(聞くだけ聞いて目の前でドア閉めるってひどくない!?)
 
 
 
 
 
 
 
ルフィ、ルフィルフィルフィ。
その名前を聞いた瞬間から頭から離れなくなった。
頭の中で連呼しすぎて、顔も知らないのにもう知り合いの気分にさえなる。
 
…どう考えても、男、だよねい…
 
ざばっと頭に湯をかけてぶるぶると水気を飛ばす。
この拍子にそいつも飛んで行ってしまえばいいのにと思うがそう上手くはいかない。
しぶといやつだ。
 
…ひとつのベッドにいながら(何もいたしてないとは言え)、他の野郎の名を呼ぶとはいい度胸だ。
しかもそのつい前までオレの名を呼んでいたというのに。
 
年甲斐もねぇ、とは自分でも思う。
だがこのざわりとうごめく胸のうちは止まらなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ってなわけで、次の島だがよい。
あまりに情報が少ねぇ。着きにくい海域ってわけでもなさそうだが…
なんかクセぇ気がするが、この海域を抜けたらしばらく長期航海になる。寄らないわけには行かねぇ。
どうせ2日の寄港だ。ハメはずさねぇよう隊員に言っとけよい」
「了解」
「各隊の持ち場は…おいアン寝るな。…持ち場は、一番隊は午前中の見張り、二番隊が次の島の情報収集、三番隊が…」
 
 
かくっと頭が落ちたところでちょうどマルコの突き出た手の骨が脳天にぶち当たった。
はっとして眠気を吹き飛ばそうとかぶりを振ると、脳みそが揺れたように痛む。(中身が少ないからだったらどうしよう!)
気付けば隊長会議はおひらきな雰囲気になっていて。
 
「あれまっ、終わった?」
「…お前な、本気でマストに吊るされてぇのかよい」
「やっ、違う違う!ちゃんと聞いてたよ!二番隊は見張りでしょ?」
「……お前本当にその頭どうにかしてこいよい」
 
あれ、ちがった?と頬を引きつらせて笑うとマルコは顔をしかめたが、不意にその目が真剣な色を帯びる。
 
(あ、また、だ)
 
さっきみたいな、言いたい事を喉元につかえさせているような。
 
「…なに?」
「…いや、」
 
 
ふいと視線を逸らしたマルコは書類をくしゃりと握って、そのまま会議室を後にした。
またまた残されたあたしはさらに疑問符を浮かべまくるのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
着いた島は入り江が狭く、モビーはどう頑張っても入りそうにない。
ということで、港から少し離れた海上で錨を降ろして、ボートで上陸した。
 
 
「じゃ、行ってきます!」
「おう、面倒起こすんじゃねぇぞ。ふらふら飯屋に入ってくなよい。腹減っても金払って飯食うんだぞ。土産とか言っておかしなモン買うんじゃねぇぞ。食いモンくれるからって知らねェ奴にほいほいついてくなよい。あと、」
「っ、マルコ!!」
「大丈夫っすよ、オレらが責任もってアン隊長をちゃんとマルコ隊長のもとまで帰しますから!」
 
あたしと共に上陸する6人の隊員たちが、何故か胸を張ってそう告げた。
そんなにガキじゃないと騒ぐと、そういう奴にかぎってガキなんだと言われ。まったく。
 
 
 
よっとボートから陸に飛び降りると、なんと丁寧なことか島の住民が数人迎えてくれた。
白髪交じりの温厚そうなおじいさんがにっこり笑っていらっしゃいと言う。
もしかして、ちょっと遠いから海賊旗が目に入らないんだろうか。
 
 
「…あのー、あたしたち海賊、なんだけど、」
 
あ、別に襲うつもりとかはなくて、と慌てて付け加えても、住民たちはそろってにこにこ顔を崩さず、知ってますよと口を揃える。
 
「白ひげ海賊団、でしょう。次の島までは少し遠いはずです。ゆっくりして行ってください」
 
本当にわかってるんだろうかと疑わざるを得ない程のおだやかさ。
 
(海賊にごゆっくりってどうよ)
 
でもそれならそれでこっちもきがねがないというものだ。
 
「あたしたち次の島の地図とか、海図とかの情報が欲しいんだけど、」
 
「ええ、案内しましょう」
 
 
そう行って歩き出す島の住民に促されるままに、あたしたちは島の中央部へと進んだのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
「…うお、すご」
 
終始にこやかな住民に連れて来られたのは、あたしたちが上陸した港とはちょうど対岸あたりの小さな家。
小さな島だからそう歩かずとも島の端から端まで行けるらしい。
その小さな石造りの家の中は、まるで本屋の様な物凄い数の蔵書。
海図からはたまたどこかの要塞の内図まで、様々な書物がうず高く積まれていた。
 
(マルコなら一日篭りそうな所だ…)
 
「ここにあるもの、すべてご自由にどうぞ」
「あ、ありがと。幾つか貰いたいんだけど…売ってくれる?」
 
未だ目の前の書物にくらりと眩暈さえ覚えながらそう提案したが、おじいさんはにこりとしたまま首を振る。
 
 
「御自由に持っていってくださって結構ですよ」
「えっ!タダ!?」
 
再び頷くおじいさん。
その言葉に、隊員たちはやたらと浮き足立った。
 
「経費余りますよ!」
「隊長!帰り飲んできましょうよ!」
 
お前らそればっかだな!と窘めるものの、あたしも知らずにゆるゆると、期待で頬が緩む。
 
 
では帰りにいい酒場を紹介しましょう、と言い残し、おじいさんはその家を出て行った。
 
 
「っはー!なんかやたらと気前のいい島っすね!」
 
「さっきいたねぇちゃんも超美人だった!」
 
「本当に2日で出るんすかー?」
 
「んー、マルコはそう言ってたけど、あ、そこの資料取って」
 
「ログが早いからって出港まで早くしなくていいのになー、うぉっ埃臭っ」
 
「ちょ、こっち飛ばすな、って、これ…」
 
 
 
隣で海図を漁っていた隊員が、ふとひとつの冊子に目を留めた。
なになに、とあたしたちも頭を寄せる。
 
まだ新しい紙の束が乱雑にまとめられたようなそれ。
隊員が目を止めたのは、その中身。
それはつらつらと並ぶいくつもの海賊団の名とその海賊旗の写真だった。
ページが進むにつれて紙は古くなり、写真も古ぼけていく。
 
「?  なんだろ」
 
「ひたすら海賊の名の旗の写真ばっかっすよ…ん、この海賊団どっかで聞いたな」
 
「ああ、あれだろ。最近まとめて海軍にとっ捕まった奴ら」
 
「ああ、新聞乗ってたな…」
 
「ん、あたしこの名前も知ってる。てか昨日の書類で見た。確かもう捕まったから手配書から抜いとけって…」
 
「…ってことは、こいつら全部御用になった海賊ばっか?」
 
 
パラパラとさらに紙をめくっていくと、最後のページに辿り着いた。
それはぎゅうぎゅうにすし詰めにされた文字の羅列。
いや、よく見るとそれは海賊団名のリスト。
タイトルのように記されているのは、『未捕獲』の文字。
 
「…なに…?」
 
その最後の列の1番端っこ、遠慮がちに記されていた。
 
 
『白ひげ海賊団』
 
 
え、あ、お、と各々の口から声が漏れたとき、あたしたちが背中を向けたドアが、がちゃんと重い音を立てた。
 
 
 
 
 
 

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白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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