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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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ハナノリさんにいただいた【37】に始まるシリーズのお話をハナノリさんにいただきました。
時系列的には前回より少し戻って37.02くらいのようです。















傷つかないからいくらでも。

そうやって言える男だったらよかったんだろうか。


君の気が済むまで、好きに使ってくれたらいい。

そんな風に言える男だったらよかったんだろうか。



それとも、
割り切った関係を楽しめる男だったらよかったんだろうか。




君が望んだのは、

どういう男だった?










**************







ブラックホール胃袋を船長に持つこの船の食糧在庫がそろそろ怪しくなり始めた頃、
ログの都合で折よく寄港の予定がついた。

二日後に控えたまだ見ぬ街の店屋がどうか当たりであることを祈りつつ、
日課である朝飯の仕込みに今まで腰かけていたスツールから尻を引っぺがす。

時刻は深夜。

一人静かではあるが、昼から煮込んでいる鍋の音だとか、
そこに動く湯気だとか、
全くの静謐ではないこの空間はコックの特権。

誰にも邪魔のされない時間には時折思わぬ来客もあって、
気まぐれな猫にとびっきりのサービスをすること含め、
自分の中で大切な時間だった。


それも、少し前までの話。



起きぬけの朝、騒がしい昼、
夕方でも夜でも、とにかく誰かが視界に入ってる時なら問題はない。

クソ野郎どもに死ぬほど食わせて、レディーたちに給仕。
そうしている間であればなんの問題もない。



深夜の仕込みの時間が、
そっくりそのまま後悔と反省とを一人反芻する時間に変わったのは、
最初にナミさんの誘いに乗った時。

反芻がどんどんと底なし沼のようになってきたのは、
最後にナミさんと二人きりになったあの夜から。







あの夜、俺は酷い顔をしていたんだと思う。

ナミさんが見張りのクソマリモのところへ行った。
そう気付いた時、俺はやりかけの作業を放置して、
ずっと、ずっと消えていったナミさんの姿を見ていた。

どうしてそこへ行って、そこで何を話して、

そして、何をしてるのか、

そんなことを勝手にぐるぐる想像してる間に、
足元に出来た吸い殻は何本にもなった。


いっそ白々しくつまみの差し入れでもして割り込もうかと考えて、
あまりに惨めだと止めた。

そうしているうちにナミさんが戻って来たのだ。


目が合って、
そこから、何を考えたかなんて、
わざわざ説明しなくてもすぐにわかったんだと思う。

ぐちゃぐちゃに煮詰まった嫉妬だった。
ドロドロしてひりついて、
ナミさんの細い両肩を揺さぶってなじってしまう寸前の。


ナミさんは俺のものでも何でもない癖に。





見張りじゃないことを確認して、マリモに用があったのかを確認して、

・・・・自分で言いながらバカみたいだと思った。


でも、聞きたかった『なんで?』の答えは知りたくなかったし、
『マリモのがよかった?』なんて応える姿すら見られないと思った。


勝手に嫉妬に狂ってる俺の姿を、
ナミさんは黙って見て、
そしてお手上げだと言う様に両手を空に向けて伸びをした。




「そりゃ、まぁ」


そうなるわ、と自嘲気味に零しつつ、鍋の様子を見る。
野菜の皮向きをしつつ、もうあの夜から何度も何度も繰り返し再生してきた瞬間は、
本日も自分の納得で停止した。

あれからナミさんと二人きりになることはない。





どうすればよかったのかなんて、わかりきっている。
最初の夜、ナミさんの誘いに乗らなければよかったのだ。

身体は手に入らなくても、
こんな風に心は絶対に手に入らないなんて絶望も知らずに済んだ。

(なのに、俺ときたら・・・)




「っイテ」

短く鋭い感覚が走って、指先を見ると見事に赤い筋が入っていた。

「こんな頻度で指先に傷作って見習いかよ」

剥いていた芋を置いて、洗うのも面倒で舐める。
舌の先に錆びた味が広がって溜息が洩れた。


普段と違うこと、例えば料理の味に変化が出るだとか、
心ここにあらずの様子を見せるとか、そんなことを晒せば彼女の負担になるから、
何でもない風を装って過ごした時はどのくらいだろう。

何でもないわけがない。


好きで、
好きで好きで好きで好きでたまらない相手と最奥まで繋がって、

なのに何も始まりさえしないこの関係。


持って行きどころのない気持ちは、
どこにもぶつけられず、

わかって抱えた癖にもういい加減重たくて、
そこら中で熱を持っていた。

大切にしたくて、困らせたくはなくて、

なのに、

時折、一番大事なナミさんに洗いざらいぶちまけて、
酷い人だと言いたくなる。



(・・・酷いのは、こっちだろ)










コン、と扉をノックする音が聴こえて、
弾かれたようにそちらを見る。

まさかと心臓が跳ねて、落胆しないように掛けた保険を女々しいと思っているうちに、
現実がドアを開けてやって来た。







「・・・・・・フランキー、珍しいな」
「期待はずれだったか?」

どこか悪かったともとれる言い様でやってきた男は、
作業に飽きて腹も減ってな、と肩を竦めてカウンターに座る。


「こんな夜中まで作業か」
「お前ェが言えた義理かよ。ノッてたから止めたくなくてな」

そうか、と応えて適当に夜食を作る。




出し終えたあと、煙草を吸って、そういやこうやって二人でここに居るのは初めてかと思った時、
丁度同じようなことをフランキーも口にした。


「ま、男が仕事場に独りでいる時ァ、入らねぇほうがいいしな」
「言ってることとやってることが矛盾してるぞ」

あ?と出された簡単なリゾット風のものをかきこみながら返事をした声は、
そこでスプーンを置き、(それは完食の合図でもあった)
げふっとクソお上品な音を響かせてこう続いた。


「ちょっと、いい加減気になっちまってよ」
「?」

何が、と問い返そうとして、カウンター向こうのフランキーの目とぶつかる。
サングラス越しだったから誤魔化せるかと思った瞬間、
それを押し上げて薄い水色がまともにこちらを覗き込んできた。

「お前ェ大丈夫かよ」

大丈夫、ととっさには言えず、
そもそも何のことだととぼけることも出来ずに、

ただただ真っすぐな視線が痛くて目を伏せて逃げた。


その様子を見てフランキーは、あー、とかいや、とか口ごもって、
バツが悪そうにサングラスを戻す。

「事情は知らねぇ。ただ、何となく、気になってな」



「俺に変わったとこでもあったか?」
「さぁ、ただ、俺はお前ェよりちっとばかし歳だけは食ってるからよ」

勘だ、と肩を竦めた仕草は出過ぎたことを謝っているようにも見えて、
勘ならクソ仕方ねェな、と思わず変な笑いが口をついた。










それから呑んだ。

珍しさも手伝っていつもの馬鹿騒ぎでの呑み方ではなく。

カウンターの表で。

延々。






何があったかを吐いたら、
ナミさんを貶める気がしたからそこは死んでも口にせずに居たけれど、
たぶんフランキーは何となく察していたんだと思う。




「欲しがらなけりゃ、結果それで手に入ったりするもんよ」
「・・・・・それいつだよ」
「急かすようじゃ無理かもな」
「クソやろう・・・」

ろれつの怪しい返事を適当に流した後は、
もういいから呑め、とだばだばジョッキに酒を注がれて半分無理やり口へ流し込まれる。

ゲホゲホと焼けた喉で噎せていると、
朦朧とした意識の端で笑っているような声が聞こえた。


「うまくいってもらいてぇと思ってるし」
「・・・・・」
「それにゃぁ、お前ェが踏ん張らねェと」


まぁ面倒な女はホント面倒臭くていけねぇな、そう続いたフランキーの言葉はもう途中から、
アルコールに溶けた脳みそでは理解できずにカウンターにずぶずぶと沈む。


どろどろになっていく頭でも仕込みの完了を確認していたのは、
明日の朝飯を出した時に、
笑う彼女の顔を見たいからで。



あぁ、そっか・・・


とりあえず、それがあればいいのか。




酒に沈んだ眠りにしては、思いのほか気分はよく、
この日の記憶はそこで切れた。















------------------------------------------------------------



(オマケ)




明け方ふらふらと甲板に出る。
そういえばと思い出しいい気分で見張り場所へ向かった。



「・・・風上に立たないでくれるかしら?」

お疲れさん、の言葉より先に食らったそっけない口調に肩を竦めると、
言われた通り本日見張りのロビンの風下へドカッと座る。
自分でも酒臭い自覚はあったので文句はない。


「こんな時間まで?」
「あぁ、サンジとな」

あら、と少しだけ目を丸くしたロビンにはその一言だけの裏でいろいろと考えることでもあるのだろう。

「・・・あなたお節介だものね」
「うるせーよ」

怒らないで褒めてるのよ、と小さく笑った声には少々気をよくして、ハァと溜息をつく。


「なんつーか、つくづく男はスーパーに憐れな生きモンだって思うぜ」
「あら自分のことを言ってるの?」
「そう聞こえたか?」

さぁどうかしら、と綺麗な笑顔を笑って流しておいて、
キッチンの方を見る。

「見てて危なっかしくてつい世話焼いちまったけど、」
「・・・よかったんじゃないかしら」


だといいけどな、と言った後は、
さて、スーパーにおはよう、とおやすみと、
いったいどっちの挨拶で別れるか、そんな下らない会話に切り替えて、
酒臭い身体で見張り場を後にした。







------------------------------------------------------------

(以下こまつなの叫び)


アニキィーーーーー!!!

まさかのフランキー登場に、わっしょいわっしょいでした(意味不明)
フランキーがいるということは、ここはサニー号なのねっ、と確認できたり。
でも3Dなつもりです、よね?

ノック音がしたとき、ほんとにナミさん来たのかと思ってめっちゃドキドキしました。
それまでぐーるぐるナミさんのことを考えてたんだから、サンジもそりゃどきっとしたろう。
どんな顔しようか、一瞬のうちにいろいろ考えたはず。
きっとそういうのも、フランキーはわかってんだろうなあ。

サンジは、こいつどこまで知ってんだ?もしかしてナミさんがロビンちゃんに言って、それがフランキーにまで伝わってんのかね、とか憶測してフランキーに対して自分をどこまで晒していいのか迷ったりしてね。
でもアニキの広い背中に思わず寄りかかってしまうんだ。

きっとサンジはそやって頼ったり晒したりすることは不本意だろうと思うので、それを強要することはしないフランキーですが、下っ端たちの世話を焼いてきたフランキーにとってはサンジのそういう内側に追い詰めてしまうところが心配なんだろなあと思ったり。


サンジとフランキーのサシ呑みは、新鮮すぎて非常に楽しいひと時でした!
ふたりの酒の強さにも言及したいとこですがひとまず置いておいて、フランキーは吐かせるつもりでサンジに呑ませたんじゃないんだろうなあと思って嬉しくなりました。
はなしの核の部分には二人ともあえて触れず、ただただ少しでもサンジの気持ちが軽くなればっていうフランキーの優しさよ。
でもそんな一晩やそこらで軽くなるようなもんじゃないことも、フランキーは重々承知してるのでしょう。

サンジにとっては、フランキーみたいに自分のことを心配してる、心配かけてると思うことがいい薬になるんじゃないかな、と思います。
いつでも自分のことは後回しな彼ですので、他の奴らに心配かけないようになんとかしないとって思うことが、いい意味でエネルギーになるんじゃないですかね。

ハナノリさんは、今後の展開で整合性が取れないようなら……と気にかけてくれましたが、むしろこのサンジエネチャージにより前回のような展開があったのだとしたら頷ける……
ハナノリさんすげえ



そんで最後のおまけ、フラロビ夫婦ね。
夫婦ね。
だって夫婦やん(・∀・)あはー

おっかしいな、私どっちかってとゾロビニストだったんだけどな。
最近周囲のフラロビ熱に巻き込まれつつあります。

正味、ロビンちゃんが幸せになれるならどっちでもよいのでしょうな。
もちろんフランキーじゃなきゃ!ゾロじゃなきゃ!とそのCPをまるごと愛してる方からしたらキッサマァ何中途半端なことを!!と思われるかもしれませんが。
元はと言えば、私はサンナミとマルアン以外はオーラキャラ推しですので、総受けとかそんなんでもなく、そのときによってキャラが一緒にいて気持ちいい人と一緒にいてほしいです。

話が逸れました。

最後のロビンちゃんの、「…よかったんじゃないかしら」が個人的にすごくすきです。

ロビンだって部屋でもんもんするナミさんと、キッチンで明るく振る舞うサンジを見て何度も溜息ついたはず。
誰かを好きになったりその人のために悩んだりをしてこなかったからこそ、ナミにはしあわせになってほしいとこっそり思ってるといいなあ。
それをナミに伝えることはしませんが、なんかの拍子にそれっぽいことをぽろっと言ってしまって、ナミが照れるもんだから一緒になって照れたりしてね。
なにそれかわいい!!!!!ダンッ







はい、長くなりましたが次のこまつな版で最後です。
お付き合いくださいましー。





拍手[15回]

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近所のおいしいカレー屋さんに行こうとしたら、わかっていたけど大行列で、
午後の用事に間に合わなさそうだったので仕方なく他へ行こうと友達と向かった先が

サイゼリア

で。


カレーの口をもてあましているこまつなです。



よしこれを食べよう! って決めたときって、なんか徐々にその口になりません?
そもそも「その口になる」って表現がわからない人にはわからないか…
なんか、もうその口になってしまえばほかの食べ物を食べる気にならないっていう、あれです。

あーーーカレー食べたい。
あの店のカレーが食べたい。
(これ保存しながらちまちま書いてるのでかれこれ5日前の話ですがね)












「グッバイ夜のテロリスト」更新しました(自由か)

すぐさまたくさんの反応がいただけて、とてもうれしかったです。
ハナノリさんも草葉の陰で喜んでたはず……(ころすな)


突然ついたタイトルですが、ハナノリさんがかっちょよく締めてくれました!

私が彼女に、『夜のテロリスト』にしてもよい?とお尋ねしたところ、
快諾の返事とともに、
「それなら『グッバイ夜のテロリスト』にしてシリーズっぽくしよう!」と素敵な発言を。


シリーズっぽくっていうのは、今までにハナノリさんとコラボっぽく書いては遊んでいた
マルアンの現パロのことでして、
私がほかのブログでちまちまとお遊びに書いていたマルアン現パロを
【ハロー隣のクラッシャー】としてまとめてアップしたところ、ハナノリさんが
【ウェルカム恋のファンタジスタ】というなんとも連作っぽいタイトルで番外編的なつづきを書いてくださって
それにちなんで今回も韻を踏んで、【グッバイ夜のテロリスト】と。

もうタイトルだけでほぅ・・・ってなる。私自身さえ。
グッバイってのがいいよなー。


そんでもってテロリストというのが誰のことかサンナミストの皆さんはお分かりのことでしょうが、
私がハナノリさんからお話メールが送られてくることをテロと呼んでいたこともぜひ踏まえていただきたい。
ぜひね。





そして先日、テロリスト最後の夜と称してお話が送られてきました。

ンギャーーーーーーー

毎回叫んでる。
ハナノリさんに踊らされている……
どうせ私は彼女の手の上で踊るマリオネット……(どういうこと)


こんな雑記を書いているものの、現在身辺慌ただしいので、
二月に入ってからうちでアップさせていただくお許しを頂きました。
それを経てからの最終話になりそうです。

もうね、サンジくんがピーーーーーーーーで、
ズキューーーーーーーーンがバキューーーーーーーーーーンとなって、大変な仕様となっておりました。
おたのしみに。(煽るだけ煽って)



そんでさらに、もう少し前の話になりますが、ハナノリさんからとあるJpopの曲のPVが送られてきて、びっくりしました。
ポルノの『瞳の奥をのぞかせて』という曲です。

もう、サンジ――――――!!!!!

完全に男女逆目線ですが、ハナノリさんが『サンジくんがマイクに縋り付いて歌ってる姿が…』とか
のたまうものですからもうそれからループループです。
アルバムまで借りてきて自前で聞くようになるくらい。
このシリーズ書くときはいつも聞いてますが、そろそろやめたほうがいいかもしれない。
本当にサンジいつまでも救われないと困るからさ。

pvのURLをのっけるつもりでしたが、あまりに印象強すぎてイメージを乗っ取られるおそれがあるため、
というかできれば読んでくださる方々それぞれが好きなようにイメージして読んで頂けた方が楽しくていいかなあと思ったので、聴きたくなった方はごめんなさい、検索してくださいな。
多分見つけられると思いますので。ようつべではshortバージョンだけでした。






このサンナミシリーズ、ほんとうに楽しく書いています。
あ、でも毎回全部のシリーズたのしんでますが。

本当は全部のお話にあとがきをくっつけて、いろいろ語り尽くしたいところですが
そんなの興ざめにもほどがあるだろうということで、自粛。
雑記を探していただければ、どこかにこぼしているかもしれません。


マルアンはどちらかというと、海賊or現パロorリバリバの世界がうちの主三本ですが、
サンナミはもっといろいろさせたくなります。
設定をね。

サンナミ現パロの主軸は【恋は百万光年】なつもりです。
サンジのフランス行きという王道を私もやってみたくて。
わがままなナミさんと献身的なサンジというのは変わらなかったんですが、
やっぱり海にいないと特にナミさんの雰囲気が私の中でぐっと変わります。
もっと子供っぽくなって、わがまま度も増す感じ。
小さなおうちで、ベルメールさんとノジコと暮らしてるんだろな。

あとは、姫と王子の~でやった、サンジのことがでぇっっっっきらいだったナミさんのお話とかね。
たのしかった。
無人島で妙にイケメン度が増すサンジも、それにどきどきするナミさんも。
ナミさんとロビンちゃんが一緒に買い物する女子組ターンもかわいくて楽しかったです。
ロビンちゃんがサンナミに絡むのが好き過ぎて。

ロビンちゃんがサンナミに絡むのが好き過ぎて。(聞いた)

ただただひたすらにサンジが可哀相なターンでしたが、私の脳内にサンナミハッピーエンド以外は見えていないしあわせ脳ですので、サンジくん安心して。

なんだっけ、どっかでむくわれない系ハッピーエンドという単語を呟いた記憶があるんだけど
なんの話でしたっけ。
たしかマルアンだった。+サッチとかだったかもしれない。

本人たちが必ずしも報われたり結ばれたりするわけでもないけれど、
そういう形の幸せもあるのかもね、くらいの気持ちでキャラたちが受け入れられる結末のことを
「むくわれない系ハッピーエンド」と呼んでいた気が。




カンバスの丘は、また違う現パロをやってみたくて。
なんだか景色が水彩画みたいにぼやんて浮かぶのを想像して書きましたが、
いろんなふうに読まれる人が想像して読んでいただけたらうれしいです。
あいかわらずウソップがいいやつです。

この話は、姫と王子の~の反動で書き始めたので、
次はサンジ→→ナミではなく、ナミ→→サンジで書きたい!と筆を執りやした。

だいすきなサンナミ書き手さんのおひとりが、ちょっと退廃的でなんだか外国映画見てるみたいな雰囲気で書かれる方がおりまして、
こんなふうにも書いてみたいな~と思いつつ、たぶんむり。







はあ~半年後・・・や、8か月後くらいには楽しくたくさん書いていられる日々が来ることを願って。
リバリバもかきてぇよう。
カレーが食べたいよう。

拍手[3回]

ハナノリさんに頂いたセフレサンナミ【37】のつづきです。
前回はこちら













閉ざされたシャッターの並ぶ商店を通り抜けると、ぼやっとした光の並ぶ細い道がつづいていた。
安い石鹸の香りが外にまで淀んでいるその界隈を、私たちは進む。
小さな看板を出したモーテルの光が目について、ほとんど考えなしにそこへ入った。
サンジ君は連れられるがまま黙っている。

呆れて嫌いになってくれたらいい。
女のくせにいやらしいことばかりしたがってと軽蔑してくれたらいい。
そしたら私は、もうサンジ君にすがったりしない。
きっと、こんなに何かを求める気持ちには二度とならない。



扉を開けると、ぱかぱかと切れかけた電気の下で、おじさんが眠りこけていた。
半ば無理やりたたき起こして部屋を取った。
鍵を受け取り、私たちは狭い廊下を進む。


簡素な造りの部屋はありふれていて、甘い言葉や熱い愛をかわすつもりのない私たちには十分と言えた。
部屋に入り鍵を閉める。
振り返ると、所在なさ気にサンジ君がベッドのわきに立っていた。
狭い部屋だから、どこに立ったってベッドのわきにはちがいない。


電気のついていない、小さな窓から入る薄明りの中、サンジ君が羽織ったパーカーがぼんやりと浮かんでいた。
歩み寄って、顔を見上げる。
いつもはあんなにわかりやすいのに、今ばかりは感情の読めない青い目が怖いほど静かに私を見つめ返していた。


「……脱ぐわね」
「ナミさん」
「……サンジ君も、はやく」
「ナミさん」


彼の声を無視して、キャミソールをむしり取った。
下着一枚になって、ショートパンツに手をかけた。


「……ナミさん」
「もうっうるさいっ」


襟を掴んでベッドに引きずりこみ、一緒になだれ込んだ。
肌が重なった瞬間、スイッチが入ったみたいに体が熱くなり、下腹部のあたりに液体が満ちる。



クソ、

そう聞こえた瞬間、驚くほど一瞬で上も下も衣服をはぎ取られた。
見上げると、もどかしそうに服を脱ぐサンジ君が見える。
影になって顔がよく見えない。
手を伸ばして盛り上がった筋肉をなぞると両腕を押さえつけられ、彼の顎髭がざらりと胸の真ん中をかすめる。
じかに触れた肌が熱くなっている。
首のあたりに、彼が吐き出した深い息を感じた。

やってくるはずの刺激を、息をひそめて待った。
サンジ君は私の腕を押さえつけたまま、胸に顔をうずめている。
うずめている。


ピクリとも動かない。
拍動だけが速く聞こえた。
私を抑え込む力が緩み、腕を撫でるようにやさしく滑り落ちた。


「……サンジ君?」
「……もしおれが来なかったら、ほかの奴を誘ってた?」


今それを訊くの、と思わず息を呑む。
サンジ君も言うつもりじゃなかったみたいに、小さく首を振った。
さらさらと耳の傍で音を立てて、細い金髪が流れる。
薄明りの中にも関わらず、きらきらと光ったそれが綺麗で、思わず手を伸ばした。


「だめだ」


鋭い声が飛び、指先がピクリと驚く。


「触らないでくれ」


行き場を失った両手が宙に浮いた。
悔しさとも恥ずかしさともつかない感情が喉のあたりに迫り上げてくる。
触れることを拒まれて、自分が傷ついたのだと気付くまでずいぶん時間がかかった。

ゆっくりと頭が上がる。
サンジ君は泣きそうな目で、口元を少し歪ませて、「ごめん」と言った。


「ナミさん本当は今日、別にしたいわけじゃねぇだろ」
「……なんで」
「あぁ、だめだおれ、ごめん。ナミさん服着てくれ」


黙っていると、「頼む」と彼が懇願した。


「服着よう。いい子だから、な」


なんだというの、と私が相変わらず黙っているうちに、お腹の上にパサパサと少ない衣服が乗せられていった。
サンジ君は私の上から降りると、背中を向けてベッドに腰かけてしまった。


──なによ。


指に引っ掛かった布きれを、彼の背中に投げつけた。
軽い音と衝撃で彼が振り返り、ベッドに落ちたそれを拾い上げた。


「ちょ、なんてモン投げてんだ」


サンジ君はベッドによじ登り、私に小さなショーツを手渡して、子どもに言い聞かすように「ちゃんと履きなさい」と言う。
フン、と顔を背けて彼の手から逃れた。


「いやよ、なんなの。ここまで来ておいて」
「ごめ、ともかくナミさん、服着ろってば」
「なによ服服って!脱がしたのはあんたじゃない!」
「っだー、もう!」


サンジ君はシーツを引っぺがすと、一瞬で私をくるんでしまった。
そして一切合財を押し込めるように抱きすくめた。
息が止まりそうなほど強い力。


「──話がしたいんだ」


そしてそれはセックスよりずっと大事なことなんだと、サンジ君はゆっくりと言い含めるように口にした。










部屋の電気は付けないまま、私はセックスをするでもなく狭い部屋のベッドに腰かけていた。
仕方なく服を身に着けて、もうどうとでもなれという気持ちでぼんやりと床を見つめる。
背中を向けていたサンジ君がそわそわとみじろいだ。


「服、着た?」
「着たわよ」


振り返って私を確認し、サンジ君はベッドに深く腰掛けた。
枕側の壁に背中を預け、私を手招く。


「隣に、ナミさん」
「なに?」
「いいから」


ぽんぽんと自身の隣を叩く顔は大まじめだ。
仕方なしに彼の隣へ腰を落ち着けると、サンジ君はシーツを引き上げて二人のおへそのあたりまでかぶせ、私の肩を引き寄せた。
肩と肩がぶつかって、私はまるで彼に寄りかかっているような形になる。


「なによ」
「このまま話してもいい?」
「……いいけど」


サンジ君は静かに、ありがとうと呟いた。

サンジ君の肩は温かかった。
それなのに、私の肩を引き寄せる指先は冷えている。


「寒くねェ?」
「うん」


彼の火照った体がすぐ隣にあって、私に熱を与えていた。
私の方は、燃え上がりかけた性欲の残り火がちらちらと揺れていたが、サンジ君もそうなのだろう。
二回ほど深い呼吸を繰り返して、自身を落ち着かせているように見えた。

サンジ君がなかなか話し出さないので、妙な沈黙が落ちる。
私はこんなところに気まずくなりに来たわけじゃないのだ。


「それで?」
「うん、うーん……」


煮え切らない声に苛立ちが募る。
まさか単に臆しただけじゃないでしょうね、と訝しむ気持ちになったが、それはさすがに違うと分かる。
苦しげに私を拒んだその顔を、さっき見たばかりだ。

「あの、本当に最初の」とサンジ君が言葉を紡ぐ。


「レストランで初めてナミさんを見たとき」
「うん」
「なんてかわいい子だろうと思ったんだ」
「うん」
「一緒に旅ができるなんて、こんな幸せがあっていいのか、なんて思ったり」


サンジ君は、今までの旅を振り返るように時々目を瞑って、私のことを話した。
私は途中で相槌を打つことをやめ、ただ黙って聞いていた。
甘い思い出に、こっそりと添えられるようにして伝えられる痛みのようなものが、私には重くて苦しい。


恋とはこういうものだ。

見ていたい、そばにいたい、触れたい、触れられたい。
そこにいるなら抱きしめて、会えないときはもどかしさに焦がれる。
日が昇っても沈んでも相手のことばかり考えて、しあわせなのに満ち足りなくて、安心と不安が一度に胸に押し寄せては泣きそうになる。

今のサンジ君みたいに。
これが恋だ。
恋とはこういうものだ。


サンジ君は吐き出すように、ため息に乗せていった。


「好きなんだ」


ナミさん、と私をかすれた声で呼ぶ。


私は恋い焦がれる気持ちを知らない。
焦がれるのは身体ばかりで、いつまで経っても満ち足りることはなく、乾いたのどを潤すものを探してはむさぼった。

私にサンジ君は手に負えないのだ。
本当は初めからわかっていた。
わかっていたのに利用した。
彼の気持ちをもてあそんでは傷つけて、ざっくりと深い傷跡からだらだらと血を流す彼の心を、見て見ぬフリした。

その上私は、その傷をつけたのは自分だと、まるで名前のシールをペタッと貼るみたいに、心のどこかで悦に入ってはいなかっただろうか。


私の肩を抱く彼の指先に、力がこもった。
引き寄せることも、手を離すこともできない微妙な力加減。


「私は」


そんなつもりじゃないのに、乾いた低い声しか出なかった。


「私は」


サンジ君は静かに、続きを待っている。

言え。
私は好きじゃないと、あんたのことなんてちっとも思ってやしないのだと。


「いいんだよ、ナミさん」
「え?」


顔を上げ、横にいるサンジ君を仰ぎ見ると、彼の横顔は少し笑っていた。


「おれがこんなふうだから、ナミさん妙に気を遣って、気まずくさせちまった。オレァナミさんが望むみたいな軽い男でいられなくて、ごめんな」


頭を掻いて、ごまかすみたいに苦笑する。


どうして、どうしてそんなにやさしくいられるの。


私が言える口ではないと知りながらも、口を開いていた。


「……あんた、損してる」
「よく言われる」


いや、そうでもねェか、と自問して首をひねるサンジ君は、まるでちっとも私のことを責めたり、自分を悲しんだりするつもりはないみたいだ。
そんなそぶりが、ますます私を卑小に感じさせた。

不意に、シーツの中で、サンジ君の空いている手が私のそれに重ねられた。


「オレァしあわせだね。考えてみりゃ、こうして手を握ったりする日が来るとは思ってもみなかった。まぁあわよくば……ってとこはあったっちゃ、あったが。なんにせよ、欲が出たんだ。こうやって横にいて、可愛い顔を眺めてられりゃあ十分……」
「うそ」
「え?」
「うそよそんなの! それならなんで私の誘いに乗ったりしたの。どうして一度も断らなかったのよ!」
「そりゃ、ナミさんのことが好きだから」
「ふざけないで!」


サンジ君の手を振り払い、身をよじって彼の傍から離れる。
正面からその顔を見つめると、サンジ君は呆気にとられた顔で私を見つめていた。


「好きだ好きだって言って、セックスまでして、やっぱり怖気づいたからってまた『好きだから』で片付けるつもり? 見てるだけで十分なんて、私によく言えるわね!」


一息にまくしたてると息が切れた。
サンジ君はぽかんと口を開けたまま、「ナミさん」と言う。


「泣いてる」
「は?」
「ナミさん泣いてる」


サンジ君の手が私の頬へ伸びた。
冷たい指先が、頬の表面をかする。
反対側の頬を、液体が流れる感触が伝った。
自分の手で確かめると、確かに頬は濡れていた。


「なにこれ、なんで……」


拭おうと下を向くと、また粒がこぼれてシーツに薄いしみを作った。
理由のわからない涙が睫毛と頬と、シーツを濡らしていく。


「ナミさん」
「うるさい。こっち見ないで」


サンジ君にそっぽを向くように顔を背けると、強引な力が私を引っ張った。


「なにっ……」


サンジ君に倒れ込んだ私を、彼の手がしっかりと支える。
反対の肩に回した手が伸びて、私を抱え込みながら髪に触れた。


「ごめん、しばらくこうさせて」
「なんでよ、いらないわよっ……」
「おれがしたいからするの。大丈夫、見ないから」


サンジ君は、私の頬を自分の胸に軽く押し付けるように腕を回した。
髪を梳く手がゆっくりと頭に触れる。

既にとめどなくなっていた涙が、少しずつ引き潮のように引いていく。
けだるい重さが胸に溜まって、私は抵抗する気をなくして目を閉じた。
最後のひと粒が頬を転がるように落ちていく。

まったく馬鹿みたいだ。
傷つけたくせに拒まれたら傷ついて、好きだと言われれば嘘だと言って信じずに、あげくみっともなく涙まで流して。

もしも私が、こういう形でサンジ君と生活を共にするわけでもなく出会っていれば、彼のことを好きになれただろうか。
刺激はないけど落ち着いていて、どこかけだるい日常を過ごしながら彼のことを考えて、もっと素直に求めたりなんかして。


「ごめん」


ぽつりと、サンジ君が謝った。
なんのこと、と口にはしなかったが代わりに鼻をすする。


「おれもう、ナミさんとはできねェよ」


…したいけど、と続けた声は少ししょぼくれている。


「ナミさんが他の野郎と……って思うとそれもいやだ。でも、これ以上続けるとオレもナミさんもダメになっちまう」


なにが、とは聞かなかった。
はっきりとは私にもわからないけれど、多分、もうきっと、私たちはすぐそこまでダメになりかけていた。


「しばらくは、多分その、余計なこと考えてあーだこーだするし言っちまうかもしれねェけど、がんばるから」


がんばるから。
がんばって、私を諦める?セックスを我慢する?私が他の男に抱かれることを我慢する?

サンジ君の言葉はどれもはっきりしなくていまいち意味を把握しきれなかった。
彼の手が、止まることなく私の髪を梳いているから。
程よい温かさと、頭皮を滑る指の間隔、そのリズムが急激に眠気を誘った。

「本当は」とサンジ君が呟いた。


「こうやってしてみたかったんだ。ナミさんに腕枕したり、肩貸したり。髪も撫でてみたかった」


「叶えちまったよ、おい」と誰にともなく零して、サンジ君はほんの少し自嘲気味に小さく笑った。
サンジ君の胸からは、今夜の夕飯の香りと、染みついたような煙草の香り、そして少し汗のにおいがする。

私も、と心の中で唱えた。

私も、こうやって何でもない時間を過ごしてみたかった。
朝目覚めたときに隣で眠る顔を見てみたり、力を抜いて頭を預けてみたりしたかった。
その相手がサンジ君でも何の問題もない。
むしろ、とそのあとを考えるには勇気がいってやめてしまったけれど。

なんてことはない。
私はただ、こうやって黙ってそばにいてくれる人がいるだけで満たされる。
体温を分けあって眠るしあわせを感じることができる。
強いてまで身体を重ねる必要なんてどこにもなかった。

サンジ君が言う。


「帰ろうか」
「ん……」


心地いい眠気に引きずられそうになりながらも、私は頷いてゆっくりと身体を起こした。
サンジ君から離れる瞬間、彼のにおいがふっと遠ざかるのを感じて思い出した。



キスも、してみたかったな。



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コ、コラボとか言っちゃった(///▽///)


サンナミストならば誰もがご存じであろう、かの【BLUEFOREST】の管理人でらっしゃるこのはさまから、新年に年賀状を頂きました。
あんまり素敵な絵だったもんで、思わず「これでおはなし書いてもよろしか?」と聞いたところ(なぜ片言)、
快くおーけいをくださいまして。

私が妄想に少し肉付けして走り書いたような代物を、このはさんがなんとサイトに絵と一緒に飾ってくださると言ってくださいました!

ギャアアアアアアアアアアアどうしよおおおおおおとんでもないこと言っちまったああああ


という心の叫びは静かに閉じ込めて、「わーいありがとうございます^^」的なお返事をしました。
内心にっこりどころじゃねぇよい。




そういうわけで、ただいまこのはさんのおうちでわたしの拙文が身の程知らずにもかかわらず、載せていただいております。

私の小話はホントありがちなあれでもうびゃあーーーって感じなので(何)
ぜひこのはさんの素敵絵を堪能しに行ってください。
このはさん宅はこちら→【BLUE FOREST】




昨年末から今年初めにかけて、ハナノリさんのテロが私のツイートを通してサンナミストの方々に連鎖爆発したおかげで、たくさんのミストさん方とお知り合いになれました。

ハナノリンありがとう。

ずーっとずーっとひっそりこっそり自家消費のためにサイトも話を書くのも妄想もやってきてて、それで満足だったはずなのに、こうしてお声をかけていただけたりするのはもう恐縮を通り越して、通り越して、どこに行くんだろうか。


素敵な絵師様や物書き様がいらっしゃって、はえー、この人すきだーと思ってても、私自身ほっとんど自分から声を掛けたりコメントを残したりしないたちなので、こうして今まで細々とやってきたわけですが、
今回の件で、世界が広がってくのってなんてすばらしいのラ~♪みたいな気持ちになりました。
水色のドレスに白いエプロン来て両手広げて野原で歌いたい。
足元で子犬が踊るよ。



コメントやメッセを送るのはなんでか勇気がいるもので、わたしなんぞが言ったところでwみたいな気持ちがあったり、こっそり見てるだけでいいの、みたいな殊勝な気分になります。私は。
なかなかいざコメントを送ろうという行動には移しにくいのに、いざご本人様からレスが来たらほんっとうに嬉しいしそれだけでしあわせー!!ってなれる、と思うのです。

私はもっと、素敵だとか好きだと思った人には貪欲に愛を伝えて行こうと思いました。



そんでもって管理人側の立場に立ってみると、今度はその一言がどんなにうれしいことか。
いただいたひとことにレスをするのも楽しくてしょうがないし、
そこから輪が広がったり、「また来たよー」みたいな方がいてくれたりしたらもう、もう。

そんで、つまらんかったわフーンってコメントが来ても受け入れられるのがインターネット。
そんなコメントいただいたことないですが。


つまり何が言いたいかというと、コメントくらさい(素直か



……ということを、このはさんがサイトでつぶやいてらしたので真似をしました(パクリか



いやでも言ったことは本当ですのよ。
私じゃなくても、二次元の海には素敵な作者様がたーーーくさん見えると思うので、
出し惜しみせずにいえるときに好きだと伝えることをおすすめします。
















ハナノリさんのツイッターまとめや麦わらブラバン妄想、はてはフラロビ夫婦のネタ見まして?
リンク繋いでもいい?いい?ダメだったら言ってください!(ここで許可を貰おうとするな)
アイドルバンド妄想
麦わらバンド妄想
フラロビ妄想

(そして繋ぐって言うね)




ハナノリさんがメールで、こんなこと考えたんだー!って教えてくださったので、私もそれネタにしたーいって言ったら、

彼女の記事から感じる圧力がじわじわキテるぜ……!!





拍手[3回]

まぶたに生暖かい重みを感じて、目が覚めた。
薄暗がりの中、すぐ近くに顔の輪郭がぼんやりと浮かんでいる。


「悪ィ、起こしたよい」
「ん……マルコ」


なに、と問いかけたアンの唇に、乾いた指先がそっと押すように触れた。

静かに、と声にならない息がマルコから漏れる。
素直に口を閉ざすと、荒々しいさざなみが、大きく聞こえた。
部屋の窓から差し込む月明かりが、ベッドの縁でひっくり返るテンガロンハットを白く照らしている。

アンが身体を起こそうとすると、マルコはやんわりと押し戻すようにアンの肩を押さえた。
押されるがまま再び枕に頭を預け、うとうととしながら、マルコは何をしに来たんだろうと考えた。

アンのベッドに腰掛け、マルコは小さな窓の外を見ている。


オォ……ン、と船底から響くような低音がとどろいた。
驚いてマルコを見上げると、マルコもアンを見下ろしている。
暗がりのせいで、顔はよく見えない。

オォ……、オォ……ン、と重なる音は、腹の中で響いているようにすぐ近くで感じる。
目を閉じると思い出した。
いつか聞いたことのある声だった。

アンはシーツに頬を突けたまま、口を動かす。


「くじら」


マルコが頷いた。
船が揺れて、月明かりのよぎったマルコの顔は、ほんの少し笑っているようだった。


「もう寝ろ」


額のあたりを掻くようにアンの髪を梳き、マルコが腰を上げる。
咄嗟に、そのシャツの裾を掴んだ。


「マルコ……なにしに来たの……?」


背の高い影は、黙ったまま首を振った。
アンの手が、自身の重みに耐えかねてぽすんとベッドに落ちる。


「おやすみ」
「……すみ」


マルコの気配が離れていく。

くじらが織りなすバスメロディーの中、温かい水の中へ沈むようにアンは再び眠りに落ちた。

丁寧にリボンがかけられた小さな赤い箱が、テンガロンハットの中、くじらの鳴動で揺れていた。












2014.1.1 アンちゃんハッピーバースデー!

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

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